サターンリターンに思いを馳せる(其の壱)

占星術の用語に、「サターンリターン」ってのがあります。サターンは土星。輪っかがついてる星ですね。

土星!!!

誰でも28-29歳前後に、サターンリターンというイベントがやってきます。生まれたときに土星があった位置に、ぐるっと360°一周した土星が戻ってくるのです。(ネイタル土星にトランジット土星が合ね。土星回帰)

占星術関係なくても、20代終わりごろたいてい人生の転機がありますよね。転職したり、結婚したり、起業したり、家買ったり、なんかえたいの知れないトラブルに巻き込まれたり、家の事情に振り回されたり。いろいろ。たいていは嬉しい楽しいばかりじゃなくて、オトナとしての責任が、ずっしりと肩にのしかかってくるイベントでしょう。

サターンリターンこわ~~~い」とか言ってるうちは、まだまだお子様。年齢重ねてても、サターンリターンの試練を越えてなければお子様です。ええ~っ? そうなの? そうですよ。はい。

ちょっと回り道して、象徴としての「土星」について。土星は太陽から遠く運行が遅いので、年老いた神の名がつけられました。英名サターンはローマ神話の農耕神サトゥルヌスに由来。ローマ神話に登場するサトゥルヌスが「将来は自分の子に殺される」という預言に恐れを抱き、自分の5人の子を次々に呑み込んでいったという伝承があります。

有名な絵画として、ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』があり、(載せたいけど、かなーりエグいのでやめとく。ご自分で探してね)自己の破滅に対する恐怖から狂気に取り憑かれ、伝承のように丸呑みするのではなく自分の子を頭からかじり、食い殺す凶行に及ぶ様子がリアリティを持って描かれています。

習合されるギリシャ神話の農耕神はクロノス。クロノスは、図像学的には通常長い鎌を持った老人の姿で現されます。クロノスが『老人』、『時』さらには『死』と結び付けられる事が多いのは古代神話の最長老であるところから、あるいは神名のクロノス(kronos)と、『時』を表すギリシャ語クロノス(chronos)とが混同されたから?とも言われます。

ま、そんなわけで、神話や占星術での土星は、もれなく陰鬱で口うるさく気難しい爺さんを想像して頂ければOKかと思います。(本物の土星は、むちゃくちゃ美しくてカッコいいと思うんですけどね~)

象徴的に考えると占星術での土星は、自分のシャドウ(ふだんは抑圧してこっそり隠してるつもりの、自分の苦手意識やコンプレックス)です。おもしろいもので、自分の欠点って、自分ではうまく隠してるつもりでも、逆に周囲にはぜーんぶ丸裸でモロに丸見えだったりします。

誰にでも心の中に土星があります。うるさい爺さんが、自分の苦手をあら探しして、ああでもない、こうでもない、と細かくいちいち文句を付けてくる。お前なんてダメだ。全然なっとらん。あれもできない。これもできない。ちっとも進歩してない。たいていは、そんなの見たくない。怖い。めんどくさい。辛い。逃げたい。私は、俺は、もっと自由にのびのびと生きたいんだ!とかなんとか言ってる若者に対して、土星は容赦なく無理難題(と本人は感じる)を突きつけてきます。うざいですよね。逃げたいですよね。

だけど、苦手だからといって逃げ回ってばかりいると、土星さんはその姿をとにかく自分にとっては煙たくてたまらないような年上の人や、理不尽(と自分には思える)な出来事に変えて、どこまでもついてきます。サターンリターンの時期を越えても、いつまでもいつまでもずーーーっとついてきます。これホント。

そこで、ぐっと踏みとどまって、自分の苦手分野に向かい合って、土星の口うるさくて細かくて完璧主義な叱咤激励の嵐に耐えつつも修行を続けると、だんだん土星爺さんのツッコミが怖くなくなります。うるさいだけで、重苦しくて、堅苦しくて、自分の自由を不当に奪う奴のように思えていた土星が、ある日突然、心強い仲間になるのです。

この社会の中で、こつこつと継続して努力して結果をきちんと出すこと。簡単なようで、なかなか簡単ではないですが、つまらない(と思える)反復作業や、時には自分の気分や体調に逆らっても、淡々と続けること。これができると、社会の中に自然に収まる生活パターン、その人なりの立派な立場や取り巻く環境が、自然と形成されてきます。周囲からの信頼が寄せられたり、それ相応の立場や裁量が与えられたり、自分の居場所が確立される。土星らしい能力が自分の中に育ってくると、この世でちゃんと生きられるようになってきます。

で、さらに年重ねてくると、自分がお若い誰かにとっての土星の役になって、煙たがられたりもする訳ですよ。おもしろいものです。なにごとも順ぐりでです(笑)

いちばん読みやすいんだけど、実はとってもじわーっと怖くておもしろい土星に関する本はこれです。ハサンの部屋、コリツの部屋、インガの部屋…などなど、一見ぎょっとするタイトルが並びますが、実例やわかりやすい説明が豊富。サターンリターン前後の方々はもちろん、もう卒業後の方々にも。


運命が変わる 土星占い (まついなつき)



さらに深く知りたい方にはこちらがいいかな。はっきりいって、結構怖い本。(特に12H土星な私。怖くて泣いた…w)どの項目も、かなーり重量級でずっしりきます。覚悟の上でどうぞ。人間の心の深淵の闇、少しでも覗き見してみたい人にはお勧めです。


サターン 土星の心理占星学(リズグリーン著 鏡リュウジ訳)



私は、なんか気軽な本読みた~い!と本屋で、なぜか買っちゃったのがこれ。(いきなりリズグリーンかよ! というツッコミはおいといて)この本が思いっきり転機になって、占星術にハマったんでした。はい。

つづく。
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2011/02/20(日)
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