『生れ月の神秘』山田耕筰


『生れ月の神秘』山田耕筰著 鏡リュウジ解説

ちょっとおもしろい本です。『生れ月の神秘』ですって?あらまぁ。東洋系の占い本でしょうか?品の良いクラシカルな装丁に惹かれて開いてみました。ぱらぱら…

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「一月生まれの人々」

この月に生れたものは、生れながらに指導者たり、思索家たるの素質を持つてゐます。(中略)
異常な活動家で、不覊独立の心と、堅忍不抜の精神に富んでをります。(中略)

この月に生れたものは、男も女も、経済の許すかぎりは、服装をととのへなければなりません。しかも生来、美術的、技巧の才をめぐまれてゐるのですから、すこし気をつかえば人一倍趣味のいい風をすることが出来るのです。威厳を保つうへからなるべくしつかりとしたものを着る必要があります。

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ん???もしかして、もしかして、これって、山羊座の解説じゃないの??? そうなのです。どうやら「生れ月」としながらも、この本は西洋占星術の12サインについて記されているようなのです。他の月もどれもそうです。○月生まれ、としているので、正確な西洋占星術のサインの時期とは若干ズレがありますが、記されている内容はどれもその時期の12サインの性質とみごとに対応しています。

著者の山田耕筰氏は「赤とんぼ」「この道」などの名曲を作曲した方です。この本が初めて刊行されたのは、大正十四年。こちらでご紹介している復刻版の本には、山田氏の娘さんによる解説も掲載されています。山田耕筰氏は、あまたの芸術家の例に漏れず、鋭い直感や霊感に恵まれた方だったようです。
まえがきにはこのように記されています。

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當るも八卦、當らぬも八卦と、古い諺は申します。眞理の中にも迷信があり、迷信の中にも眞理は潜んでゐます。(中略)
この「生れ月の神秘」もその一つといへばいへるでせう。幾度海外の土に親しんでも、西洋好きになれない私、古風な迷信や八卦から、逃れ得ぬ私が、彼地で発見したのがこの書の原本なのです。つれづれの折々にその節々をつたない筆に訳し述べて人に見せた所、意外にもてはやされましたので、おだてられるとは知りながら、つひ世間に発表して見る気になりました。
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旧仮名遣いがぱっと見には堅苦しく見えますが、文体はとても端正でリズム感があり、心地よくするすると読みすすめられます。(さすが音楽家!)通常の読み物としても興味深いですし、西洋占星術の専門的な観点からも、当時の時代背景を考えても、さまざまな角度から楽しめる本です。巻末で鏡リュウジ氏が紹介している「太陽星座占い」の発祥と歴史についての解説と合わせて読むのも勉強になります。

果たして、この書の原本があったのかどうかはわかりません。(山田耕筰氏は、1886年6月9日生まれの双子座人とのこと。きっと大真面目に書いてるように振る舞っていても、その中にはきっと遊び心とひねりを紛れ込ませているはずだとおもうのはワタシだけ?!)

では、なぜ「生れ月」が個人の人生や性質にとって重要と考えられてきたか(いるか)ということを、引き続き考えてみたいと思います。(つづく)


※ 直接お目にかかる機会がある方には、貸し出します。ご興味ある方はご連絡ください。

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2014/04/20(日)
西洋占星術

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